この項目では、機械学習の全体像と、学習方式による主要な分類(教師あり学習・教師なし学習・半教師あり学習)を学びます。以降のすべての手法が「どの枠組みに属するか」を判断する物差しになる、導入かつ必須の単元です。
📖 概要
機械学習とは、明示的なルールをプログラムとして書き込む代わりに、データから規則性やパターンを自動的に獲得し、未知のデータに対して予測や判断を行えるようにする技術の総称です。深層学習も機械学習の一分野であり、E資格の全範囲は「機械学習の枠組みの上に深層学習の手法が乗っている」という構造で整理できます。
機械学習は、学習に使うデータに「正解(ラベル・教師信号)」が付いているかどうかで大きく分類されます。正解付きデータから入力と出力の対応関係を学ぶのが教師あり学習、正解なしデータから構造やパターンを見つけるのが教師なし学習、そして少量の正解付きデータと大量の正解なしデータを組み合わせるのが半教師あり学習です。このほかに、環境との試行錯誤から報酬を最大化する行動を学ぶ強化学習という枠組みもあり、深層強化学習の章で扱われます。
どの枠組みを選ぶかは、解きたいタスクと手に入るデータで決まります。特に「ラベル付けのコスト」は実務上の大きな制約であり、半教師あり学習や自己教師あり学習(ラベルなしデータから疑似的な課題を作って学習する方法)が注目される理由になっています。
🔍 キーワード解説
機械学習
機械学習は、データから学習した規則を使ってタスクの性能を改善するアプローチです。典型的な流れは、(1)データを集めて特徴量として表現する、(2)モデル(パラメータを持つ関数)を用意する、(3)損失関数でモデルの良し悪しを測る、(4)損失を小さくするようパラメータを最適化する、(5)未知データへの汎化性能を検証する、というものです。ルールを人手で書き切れない画像認識・自然言語処理・音声処理のような問題で特に威力を発揮します。
教師あり学習
教師あり学習は、入力 x と正解ラベル y のペアからなるデータを使い、x から y を予測する関数を学習する枠組みです。出力が連続値なら回帰(例: 価格予測)、離散的なカテゴリなら分類(例: 画像のクラス判定)と呼ばれます。線形回帰・ロジスティック回帰・サポートベクターマシン・決定木、そして多くのニューラルネットワークによる認識タスクがここに含まれます。正解との誤差を損失関数で定義できるため学習の設計が明快である一方、大量のラベル付きデータを用意するコストが課題になります。
教師なし学習
教師なし学習は、正解ラベルのないデータだけから、データに潜む構造やパターンを見つける枠組みです。代表的なタスクには、似たデータをグループ化するクラスタリング(k-meansなど)、高次元データを少数の軸に要約する次元圧縮(主成分分析など)、データの生成過程そのものをモデル化する密度推定・生成モデルがあります。正解がないため評価が難しいという特徴がありますが、ラベル付けコストが不要で、データ理解・可視化・前処理・異常検知など用途は広範です。
半教師あり学習
半教師あり学習は、少量のラベル付きデータと大量のラベルなしデータを併用する枠組みです。ラベルなしデータからデータ分布の形(どこにデータが密集しているか)を知ることで、ラベル付きデータだけで学ぶよりも良い決定境界を引けることが期待できます。代表的なアプローチに、モデル自身の予測を疑似ラベルとしてラベルなしデータに付与し再学習するSelf-Training(自己訓練)などがあります。ラベル付けに専門家が必要な医療画像のような分野で特に有効とされます。
強化学習(関連する枠組み)
上記の3分類と並んで挙げられるのが強化学習です。正解ラベルの代わりに、エージェントが環境の中で行動し、その結果として得られる報酬を手がかりに、累積報酬を最大化する方策を学習します。「正解が直接与えられず、行動の良し悪しが遅れて報酬として返ってくる」点が教師あり学習との本質的な違いで、ゲームAIやロボット制御に応用されます。詳細は深層強化学習の項目で扱われます。
📝 試験でのポイント
- 具体的なタスク(スパム分類・顧客のグループ分け・売上予測など)がどの学習方式に当たるかを判別させる問題が典型です
- 教師あり学習の中の「回帰と分類」の区別(出力が連続値か離散値か)まで問われます
- 教師なし学習の代表タスク(クラスタリング・次元圧縮)と代表手法(k-means・主成分分析)の対応を押さえましょう
- 半教師あり学習は「少量のラベル付き+大量のラベルなし」という構成が定義のポイントで、Self-Trainingなどの手法名とセットで出ます
- 強化学習は「報酬をもとに試行錯誤で方策を学ぶ」点で他の3つと区別されることを理解しておきましょう
📚 まとめ
機械学習はデータから規則を学び未知データに汎化する技術で、深層学習もその一分野です。 ラベルの有無により、教師あり学習(回帰・分類)、教師なし学習(クラスタリング・次元圧縮など)、半教師あり学習(両者の併用)に大別されます。 さらに報酬から学ぶ強化学習という枠組みもあり、以降の章の手法はすべてこの地図のどこかに位置付けられます。 タスクとデータの条件からどの枠組みを使うべきか判断できることが、この単元のゴールです。
