データを「近い者同士から順に」まとめていき、最後は全体が1つになるまでの併合の歴史を樹形図に残す——それが階層ありクラスタリングであり、その代表的な手法がウォード法です。k-means法との違い、デンドログラムの読み方まで含めて解説します。

📖 ひと言でいうと

ウォード法とは、階層ありクラスタリングの代表的な手法で、最も距離が近い2つのデータ(クラスタ)を選んで1つにまとめる処理を繰り返し、データセットの階層構造を求めるものです。まとまっていく過程は、デンドログラム(樹形図)と呼ばれる図で表されます。

身近な例えでいうと、トーナメント表を下から組み上げていく作業に似ています。まず一番似ている2人をペアにし、次に似ているペア同士やペアと個人をまとめ…と繰り返すと、最終的に全員が1つの大きなグループにつながった「家系図」のような図ができあがります。この図がデンドログラムで、どの高さで横に切るかによって、好きな粒度のグループ分けを取り出せます。

🖼 1枚でわかるウォード法

ウォード法の要点
  • 階層ありクラスタリングの一つ — データセットの階層構造を求める
  • 近い2つを1つにまとめる処理を繰り返す — ボトムアップの併合
  • 結果はデンドログラム(樹形図)で表現
  • 切る高さでクラスタ数を後から選べる — kの事前指定は不要
  • k-means法(階層なし)との対比が試験の定番
つくもち屋「G検定対策」SUMMARY

📘 公式テキストの説明

階層ありクラスタリングの一つで、データセットの階層構造を求めることを目的とする。k-means法からさらに、クラスタの階層構造を求めるまで行う手法。最も距離が近い2つのデータ(クラスタ)を選び、それらを1つのクラスタにまとめる処理を繰り返していく。クラスタリングのまとまりを表した樹形図のことをデンドログラム(dendrogram)という。

キーワードは「階層あり」「近い2つをまとめる繰り返し」「デンドログラム」の3つです。k-means法が「k個に分けて終わり」(階層なし)なのに対し、ウォード法はデータがどの順番で・どれくらいの距離でまとまっていったかという階層構造まで求めます。「クラスタリングのまとまりを表した樹形図=デンドログラム」という用語の対応は、そのまま試験に出る重要ポイントです。

🔍 しっかり理解する

階層的クラスタリングの進み方

ウォード法をはじめとする階層あり(凝集型)クラスタリングは、次の流れで進みます。

全データが個別クラスタ
1データ=1クラスタから開始
最も近い2つを併合
距離最小のペアを1つにまとめる
繰り返す
全体が1つになるまで併合を継続
デンドログラム完成
切る高さでクラスタ数を選ぶ

最初は全データがそれぞれ1つのクラスタです。そこから「最も距離が近い2つ」を選んで併合する操作を、全体が1つのクラスタになるまで繰り返します。併合の履歴を縦軸(併合時の距離)付きで描いたものがデンドログラムで、低い位置で結ばれたデータほど似ていることを意味します。

デンドログラムの便利な点は、後から水平に「切る」だけで任意のクラスタ数を得られることです。高い位置で切れば大きく2〜3グループ、低い位置で切れば細かい多数のグループになります。k-means法のように事前にクラスタ数kを決めて実行し直す必要がなく、図を見ながら妥当な分け方を選べます。

ウォード法らしさ: 「距離」の測り方

「最も近い2つをまとめる」というとき、クラスタ同士の距離をどう定義するかで手法が分かれます。最短距離法(最も近い点同士)、最長距離法(最も遠い点同士)、群平均法などの仲間があり、ウォード法はその中の1つです。ウォード法では、併合の前後で「各クラスタ内のばらつき(クラスタ内の各点と重心との距離の2乗和)」がどれだけ増えるかを距離とみなし、増加が最小になるペアから併合します。

直感的には「まとめてもグループのまとまりの良さが最も壊れないペアから順にくっつける」方針です。このためウォード法はバランスの取れたクラスタができやすく、階層的クラスタリングの中で実務上よく選ばれる手法になっています。試験ではこの計算式の詳細より、「階層ありクラスタリングの代表がウォード法」という位置づけの理解が重要です。

k-means法との関係

公式テキストの「k-means法からさらに、クラスタの階層構造を求めるまで行う手法」という一文は、「グループ分けをするだけでなく、階層構造の情報まで得られる」という意味で理解しましょう。k-means法は平らな(階層なしの)k個のグループを出力しますが、ウォード法はグループ同士の入れ子関係・併合の順序という追加情報まで示せる、という対比です。一方で、データ数が多いとペア間距離の計算量が膨らむため、大規模データには階層なしのk-means法が向く、という使い分けもあります。

💡 具体例で考える

アンケート調査の分析を例にしましょう。ある自治体が住民1,000人に生活満足度アンケート(交通・医療・子育て・文化など10項目)を行い、回答パターンで住民をタイプ分けしたいとします。ウォード法でクラスタリングしてデンドログラムを描くと、まず「都市機能重視派」と「自然・環境重視派」の2大グループに分かれ、都市機能重視派の中はさらに「子育て世代」と「高齢世代」に分かれる——といった入れ子の構造が見えてきます。「まず大きく2つ、詳しく見るなら4つ」のように、目的に応じて粒度を変えられるのが階層構造を求める手法の強みです。

もう1つの典型例は生物学の系統分類的な分析です。生物の形質や遺伝子データから種同士の類似度を計算し、階層的クラスタリングでまとめると、似た種が低い位置で結ばれた樹形図が得られます。デンドログラムという言葉自体、ギリシャ語の「木(dendron)」に由来しており、この分野で樹形図が古くから使われてきたことと馴染み深い関係にあります。

⚠️ よくある誤解・紛らわしい用語

💡 ポイント
  • k-means法との混同: k-means法は階層「なし」、ウォード法は階層「あり」です。どちらが階層ありかを入れ替えた正誤問題が定番中の定番です。
  • デンドログラムの帰属: デンドログラム(樹形図)が登場するのは階層ありクラスタリング(ウォード法)です。「k-means法の結果をデンドログラムで表す」という記述は誤りです。
  • クラスタ数の扱い: k-means法は実行前にkを自分で決めますが、ウォード法はデンドログラムを切る高さで後から選べます。この違いも選択肢の素材になります。
  • 教師あり学習ではない: ウォード法は正解ラベルを使わない教師なし学習です。分類問題(教師あり)と混同しないようにしましょう。

📝 試験でのポイント

💡 ポイント
  • 「階層ありクラスタリングの一つ」「最も距離が近い2つのデータ(クラスタ)を1つにまとめる処理を繰り返す」という定義の穴埋め・正誤が基本の問われ方です。
  • 「クラスタリングのまとまりを表した樹形図=デンドログラム」という用語の対応は、単独でも出題されうる最重要ポイントです。
  • k-means法(階層なし・kを事前指定)との対比表現を入れ替えた誤答選択肢に注意しましょう。
  • 教師なし学習の手法群(k-means法・ウォード法・t-SNEなど)の中で、それぞれの役割(クラスタリングか次元削減か、階層の有無)を対応づけられるようにしておきましょう。

📚 まとめ

ウォード法は、最も距離が近い2つのデータ(クラスタ)を1つにまとめる処理を繰り返して、データセットの階層構造を求める階層ありクラスタリングの代表手法です。併合の過程はデンドログラム(樹形図)で表され、切る高さを変えることで好きな粒度のグループ分けを取り出せます。「階層あり=ウォード法・デンドログラム」「階層なし=k-means法」という対比を軸に整理しておけば、試験で確実に得点できます。