階層的クラスタリングの結果は、木の枝のような1枚の図に集約されます。それがデンドログラム(樹形図)です。データがグループ化されていく過程を可視化し、クラスタ数の決定にも役立つこの図は、G検定で「階層的クラスタリングとセット」で問われる定番キーワードです。
📖 ひと言でいうと
デンドログラムとは、クラスタ分析(階層的クラスタリング)において、標本が逐次的にグループ化されていく様子を、木の枝のような線で表した図のことです。横軸に個々の標本を並べ、縦軸方向の線の高さで「どのくらい似た段階で併合されたか」を表します。
例えるなら、勝ち上がり式のトーナメント表を逆さから見るイメージです。トーナメント表では選手が1回戦・2回戦と勝ち進むたびに線が合流していきますが、デンドログラムでは「よく似たデータ同士」から順に線が合流し、最終的に全データが1つにまとまります。合流の位置が低い(早い)ペアほど似ている、と読むのがポイントです。
🖼 1枚でわかるデンドログラム
📘 公式テキストの説明
クラスタ分析において、逐次的に標本がグループ化される様子を木の枝のような線で表したもの。デンドログラムは、階層的クラスタリング手法において、データ間の類似性や関連性を視覚的に示すために用いられる。この図は、データポイント間の距離を基に、横軸に標本を並べ、縦軸に類似度を表している。デンドログラムを用いることで、どのデータポイントがどのクラスタに属するか、そして各クラスタ間の関係や階層構造を直感的に把握することができる。また、適切なクラスタ数を決定する際にも役立つ。縦軸の類似度に基づいて適切なカットオフポイントを選択することで、クラスタ数を決定できる。
読み解きのポイントは3つです。①デンドログラムは階層的クラスタリング専用の可視化であること(k-means法の結果を表す図ではありません)、②図の構造は「横軸=標本、縦軸=類似度」であること、③縦軸のどこかにカットオフポイント(切断する高さ)を選ぶことで、クラスタ数を後から決められることです。
とくに③は階層的クラスタリングの大きな利点と直結しています。k-means法のように最初にクラスタ数を指定しなくても、まず全部の併合過程を計算してから、図を見て「ここで切れば3グループだな」と決められるのです。
🔍 しっかり理解する
デンドログラムができるまで
デンドログラムは、階層的クラスタリング(凝集型)の併合の記録そのものです。処理の流れを追うと図の意味がよく分かります。
最初は1つひとつのデータがそれぞれ独立したクラスタです。そこから「最も似ている(距離が近い)2つ」を選んで併合する操作を繰り返し、最後に全データが1つの大きなクラスタにまとまります。この併合の1回1回が、デンドログラムの枝の合流点として記録されます。早い段階(似た者同士)の併合は図の低い位置に、最後のほうの併合(かなり異質なグループ同士の合体)は高い位置に描かれます。
なお、クラスタ同士の「距離」の測り方には複数の流儀があり、その代表がウォード法です。どの流儀を選ぶかで併合の順番、つまりデンドログラムの形も変わります。
カットオフポイントでクラスタ数を決める
完成したデンドログラムに対し、縦軸のある高さで水平に線を引いて木を切ると、切り口から下につながっている枝のまとまりの数が、そのままクラスタ数になります。低い位置で切れば「よく似た者同士だけの小さなクラスタ」が多数でき、高い位置で切れば「大まかな少数のクラスタ」になります。
どの高さで切るべきかの目安の1つは、枝が長く伸びている区間(併合の間隔が大きく開いている部分)で切ることです。長い枝は「この2グループはかなり無理をしないと併合できない=性質が離れている」ことを意味するため、その手前で切るのが自然な区切りになりやすいのです。
💡 具体例で考える
都市の気候データのクラスタリングを考えましょう。全国の都市について月別平均気温や降水量を特徴量として階層的クラスタリングを行うと、デンドログラムの低い位置ではまず「札幌と旭川」のような気候がほぼ同じ都市同士が合流します。少し上では「北海道の都市群」と「東北の都市群」が合流し、最上部近くでようやく「北日本グループ」と「南日本グループ」が1つになります。この図を眺めれば、気候の類似構造が階層として一望でき、「3つに切れば北日本・太平洋側・日本海側」のような分け方も選べます。
もう1つの例はアンケート回答者のセグメント分けです。回答パターンの近い人から順に枝が合流していくため、「明確に好みが分かれる2大グループがある」のか「なだらかに多様なのか」が枝の形から読み取れます。マーケティングでペルソナ数を何個に設定するか迷うとき、デンドログラムのカット位置を変えながら検討する、という実務的な使い方がされています。
⚠️ よくある誤解・紛らわしい用語
- k-means法の結果を表す図ではない: デンドログラムは階層的クラスタリングの併合過程を表す図です。クラスタ数を最初に決めて一気に分割するk-means法には、併合の過程が存在しないため描けません。
- 決定木との混同: 見た目はどちらも木状ですが、決定木は教師あり学習の予測モデル(条件分岐の木)、デンドログラムは教師なし学習の併合過程の記録です。役割がまったく異なります。
- ウォード法との関係: ウォード法はクラスタ間の距離の測り方(併合基準)の名前で、デンドログラムは結果の表現形式です。「ウォード法で計算し、デンドログラムで可視化する」という関係です。
- 軸の読み方: 横軸は標本(データ)、縦軸は類似度・距離です。縦軸を時間や誤差と誤読させる選択肢に注意しましょう。
📝 試験でのポイント
- 「逐次的に標本がグループ化される様子を木の枝のような線で表したもの」という定義文からデンドログラムを選ばせる出題が最も典型的です。
- 「階層的クラスタリングとセットで使われる」という対応関係の正誤判定が想定されます。非階層的(k-means法)と結びつけた誤答に注意してください。
- カットオフポイントの選択によってクラスタ数を決定できる、という利点は頻出の論点です。
- クラスタリング・ウォード法・デンドログラムの3語の役割分担(手法の枠組み/併合基準/可視化)を一言ずつ説明できるようにしておきましょう。
📚 まとめ
デンドログラムは、階層的クラスタリングで標本が逐次的に併合されていく過程を、木の枝のような線で表した図です。横軸に標本、縦軸に類似度をとり、低い位置で合流するほど似ていることを示します。クラスタの階層構造を直感的に把握できるうえ、縦軸のカットオフポイントを選ぶことでクラスタ数を後から決められる点が大きな利点です。階層的クラスタリング・ウォード法とセットで整理しておきましょう。
