「異常なし」を正しく「異常なし」と判定する——地味に見えて、分類モデルの信頼性を支えているのが真陰性です。正解率や偽陽性率の計算に関わる一方、適合率や再現率の式には登場しない「独特の立ち位置」を持つマスでもあります。

📖 ひと言でいうと

真陰性(True Negative、TN)とは、実際に陰性(負例)であるデータを、モデルが正しく陰性と予測できたケースのことです。「陰性と予測して、それが真(正しかった)」と読みます。

例えるなら、健康診断で健康な人にきちんと「異常なし」と伝えられたケースです。病気の発見(真陽性)ほど目立ちませんが、健康な人を誤って「要精密検査」と騒がせない(偽陽性を出さない)ことも検査の大切な仕事です。厳密には、真陰性は正しく「陽性ではない」と棄却できた件数であり、その多さは誤検出の少なさ、すなわち偽陽性率の低さと表裏一体の関係にあります。

🖼 1枚でわかる真陰性

真陰性(True Negative)の要点
  • 定義 — 実際に陰性のデータを、正しく陰性と予測したケース
  • 読み方 — 「陰性」=予測、「真」=その予測が正解だった
  • 位置づけ — 混同行列4区分のうち「正しい棄却」のマス
  • 正解率との関係 — (TP+TN)/(TP+TN+FP+FN) の分子にTPと並んで登場
  • 偽陽性率との関係 — FPR=FP/(FP+TN) の分母に登場(ROC曲線の横軸)
つくもち屋「G検定対策」SUMMARY

📘 公式テキストの説明

混同行列における分類結果の一種で、実際に陰性(負例)であるデータを正しく陰性と予測したケースを指す。英語ではTrue Negative(TN)と呼ばれる。例えば「犬」「猫」の画像分類問題において、実際は「猫」の画像を「猫」と正しく予測した場合がこれに該当する。正解率(TP+TN)/(TP+TN+FP+FN)の計算において真陽性とともに用いられ、ROC曲線における偽陽性率(FPR=FP/(FP+TN))の算出にも関係する。

犬猫分類で「犬」を陽性クラスとした場合、猫は陰性クラスです。実際に猫の画像を「猫」と正しく予測できたケースが真陰性にあたります。後半で挙げられている2つの式が真陰性の役割を示しています。正解率では「もう1つの正解」として分子に加わり、偽陽性率では分母(実際の陰性の総数 FP+TN)の一部として、モデルが陰性をどれだけ正しく扱えたかの基準になります。

🔍 しっかり理解する

「正しい棄却」というもう1つの正解

混同行列の4区分のうち、正解は真陽性(TP)と真陰性(TN)の2つです。TPが「見つけるべきものを見つけた手柄」なら、TNは「疑うべきでないものを疑わなかった手柄」です。同じ「予測は陰性」でも、当たればTN、外れれば偽陰性(FN)に分かれます。

🅰 真陰性(TN)
  • 予測: 陰性/実際: 陰性
  • 正しい棄却(正解)
  • 例: 猫の画像を「猫」と予測
  • 正解率の分子・FPRの分母に登場
🅱 偽陰性(FN)
  • 予測: 陰性/実際: 陽性
  • 見逃し(誤り)
  • 例: 犬の画像を「猫」と予測
  • 再現率を押し下げる要因

真陰性が関わる指標・関わらない指標

真陰性が計算に登場する代表的な式をプレーンテキストで確認します。

💡 ポイント
  • 正解率 = (TP + TN) / (TP + TN + FP + FN) …全データ中の正解の割合。TNは分子の一員
  • 偽陽性率(FPR) = FP / (FP + TN) …実際の陰性のうち誤って陽性とされた割合。ROC曲線の横軸

一方で、適合率 TP/(TP+FP) と再現率 TP/(TP+FN) の式に TN は登場しません。この2指標は「陽性クラスをどう扱えたか」だけに注目する指標だからです。ここから重要な性質が生まれます。陰性が圧倒的に多い不均衡データでは、TNが膨大になるため正解率は簡単に高くなりますが、適合率・再現率はTNに影響されないため、陽性クラスの検出力を正直に映し出します。「TNが式に入るか入らないか」は、指標の使い分けを理解する鍵なのです。

偽陽性率とROC曲線への橋渡し

偽陽性率 FPR = FP/(FP+TN) の分母は「実際の陰性の総数」です。TNが大きい(=陰性を正しく棄却できている)ほどFPRは小さくなります。ROC曲線は、判定の閾値を動かしながら縦軸に真陽性率、横軸に偽陽性率を描いたグラフなので、TNの扱いはROC曲線・AUCによるモデル評価にも直結します。

💡 具体例で考える

公式テキストの犬猫分類の例で数えてみましょう。犬100枚・猫100枚のデータセットで「犬」を陽性とすると、猫と予測して正しかった数(真陰性)は85枚でした。実際の猫100枚のうち85枚を正しく「猫」と判定できたことになります。このとき正解率は (90+85)/(90+85+10+15) = 175/200 = 0.875、偽陽性率は 10/(10+85) = 約0.105 と計算できます。

もう1つ、クレジットカードの不正検知を考えます。不正取引を陽性とすると、真陰性は「正常な取引を正常と判定した件数」です。取引の大多数は正常なので、TNは4区分の中で圧倒的に多くなります。もし「全取引を正常と判定する」手抜きモデルを作ると、TNが莫大になり正解率は99%を超えますが、不正の検出数(TP)はゼロです。TNの多さに支えられた高い正解率が、いかに当てにならないかを示す典型例です。

⚠️ よくある誤解・紛らわしい用語

💡 ポイント
  • 真陰性と偽陰性の混同。どちらも「予測は陰性」ですが、当たっていればTN(正解)、外れていればFN(見逃し)です。「真/偽」は予測の当たり外れを表すと覚えましょう。
  • 真陰性と真陽性の混同。どちらも正解ですが、TNは陰性を陰性と、TPは陽性を陽性と当てたケースです。適合率・再現率の分子になるのはTPであり、TNではありません。
  • 「TNは適合率の計算に使う」という誤解。適合率にも再現率にもF値にもTNは登場しません。TNが効くのは正解率と偽陽性率(および特異度 TN/(TN+FP))です。
  • TNが多い=良いモデルとは限らない。陰性多数の不均衡データではTNは自然に積み上がります。TN由来の高正解率をうのみにせず、陽性側の指標を併読する姿勢が大切です。

📝 試験でのポイント

💡 ポイント
  • 「実際に陰性であるデータを正しく陰性と予測したケース」という定義の選択問題が基本形です。4区分の定義文入れ替えに注意しましょう。
  • 混同行列の数値から正解率 (TP+TN)/(TP+TN+FP+FN) を計算させる問題で、分子にTNを含め忘れないようにしましょう。
  • 偽陽性率 FPR = FP/(FP+TN) の分母にTNが入ること、FPRがROC曲線の横軸であることはセットで問われます。
  • 「適合率・再現率の式にTNは含まれない」という知識は、不均衡データの指標選択問題を解く決め手になります。

📚 まとめ

💡 ポイント
  • 真陰性(TN)は、実際に陰性のデータを正しく陰性と予測できた「正しい棄却」のマスです。
  • 正解率 (TP+TN)/(TP+TN+FP+FN) では、TPと並ぶ「もう1つの正解」として分子に入ります。
  • 偽陽性率 FPR = FP/(FP+TN) の分母に関わり、ROC曲線の横軸の計算に使われます。
  • 適合率・再現率・F値の式には登場せず、この違いが指標の使い分けの鍵になります。
  • 陰性多数のデータではTNが正解率を押し上げるため、正解率単独の評価には注意が必要です。