100人分のテストの点数をずらっと眺めても、全体の傾向はつかめません。「60点台は何人、70点台は何人」と区間ごとに数えて整理すれば、一気にデータの姿が見えてきます。この整理法が度数分布です。階級・度数といった基本用語から、度数分布表の作り方、ヒストグラムによる可視化まで丁寧に解説します。

📖 ひと言でいうと

度数分布とは、データをいくつかの区間(階級)に分け、それぞれの区間に何個のデータが入るか(度数)を数えて、データ全体の散らばり方を整理したものです。表にまとめたものを度数分布表、棒グラフの形で描いたものをヒストグラムと呼びます。

クラスの身長測定にたとえると、「150cm台が3人、160cm台が12人、170cm台が10人…」と仕分けしていく作業です。一人ひとりの値は見えなくなる代わりに、「どのあたりに人が集中しているか」「分布は左右対称か偏っているか」という全体像が一目で分かるようになります。

🖼 1枚でわかる度数分布

度数分布 = 階級ごとにデータの個数を数えて全体像を見る
  • 階級 — データを区切る区間(例: 60点以上70点未満)
  • 度数 — 各階級に入るデータの個数
  • 度数分布表 — 階級と度数を一覧にした表。相対度数・累積度数も併記できる
  • ヒストグラム — 度数分布を柱状グラフにした可視化。分布の形が一目で分かる
つくもち屋「G検定対策」SUMMARY

📘 公式テキストの説明

度数分布 は本書の章節記事では正式な定義段落が用意されていません。以下は、シラバスの位置づけと関連用語から再構成した補足解説です。

度数分布は、シラバスの「AIに必要な数理・統計知識」で平均・中央値・最頻値・標準偏差などの記述統計の用語群と並んで挙げられるキーワードです。個々の代表値が「データを1つの数値に要約する」道具であるのに対し、度数分布は「データの散らばり方全体を目に見える形に整理する」道具であり、データ分析の最初の一歩として位置づけられます。

🔍 しっかり理解する

度数分布表を作る手順

① 階級を決める
区間の幅と数を設定(例: 10点刻み)
② 度数を数える
各階級に入るデータの個数を集計
③ 表にまとめる
相対度数・累積度数も必要に応じて追加
④ グラフ化する
ヒストグラムで分布の形を確認

生徒20人のテストの点数を10点刻みで整理した例で見てみましょう。

階級(点) 度数(人) 相対度数 累積度数(人)
40以上50未満 1 0.05 1
50以上60未満 2 0.10 3
60以上70未満 5 0.25 8
70以上80未満 6 0.30 14
80以上90未満 4 0.20 18
90以上100以下 2 0.10 20

相対度数は「度数 ÷ 全体数」で各階級の割合を表し(合計は1)、累積度数は「その階級までの度数の合計」です。この表から「70点台が最も多い」「80点未満は14人(70%)」といった読み取りが即座にできます。

また、各階級の真ん中の値を階級値と呼びます(「60以上70未満」なら65)。個々の生の値が手元になくても、「階級値 × 度数」の合計を全体数で割れば平均のおおよその値を推定できます。上の表なら(45×1 + 55×2 + 65×5 + 75×6 + 85×4 + 95×2) ÷ 20 = 1460 ÷ 20 = 73点です。度数分布表は元データを圧縮した要約でありながら、代表値の計算までこなせる実用的な道具なのです。

ヒストグラムで「分布の形」を見る

度数分布表を柱状グラフにしたものがヒストグラムです。横軸に階級、縦軸に度数を取り、柱を隙間なく並べます(横軸が連続量であることを示すため、カテゴリを並べる棒グラフとは区別されます)。ヒストグラムを見れば、山が1つか2つか(単峰性・二峰性)、左右対称か偏っているか、極端に離れた値(外れ値)がないか、といった分布の形の情報が一目で得られます。たとえば山が2つあれば「性質の違う2つのグループが混ざっている」サインであり、平均や標準偏差だけを見ていては決して気づけない構造を発見できるのがヒストグラムの強みです。

代表値との関係

度数分布は代表値の土台でもあります。最頻値は「度数が最大の階級(の階級値)」としてそのまま読み取れますし、中央値がどの階級に入るかも累積度数から分かります(上の例では累積度数が10人・11人目を含む「70以上80未満」の階級)。まず度数分布で全体像を見て、そのうえで平均値・中央値・最頻値のどれが中心の指標としてふさわしいかを選ぶ——これがデータ分析の正しい順序です。

💡 具体例で考える

機械学習の探索的データ分析(EDA)では、モデルを作る前に各特徴量のヒストグラムを描くのが定石です。たとえば住宅価格のデータで価格のヒストグラムを描くと、右に長く裾を引いた分布がよく見つかります。そのまま学習させるより対数変換で分布を整えた方がよい、といった前処理の判断は、度数分布を見ることから始まります。欠損の偏りや入力ミス(あり得ない値の柱)の発見にも役立ちます。

カメラの露出確認も身近な度数分布です。デジタルカメラや写真編集ソフトに表示される「ヒストグラム」は、画素の明るさの度数分布そのもので、柱が左に偏っていれば暗すぎ、右端に張り付いていれば白飛び、と撮影者は分布の形から画像の状態を判断しています。

⚠️ よくある誤解・紛らわしい用語

💡 ポイント
  • ヒストグラムと棒グラフの混同 — ヒストグラムは連続量を階級で区切った度数の表示で柱を隙間なく並べます。棒グラフは独立したカテゴリの比較で、意味が異なります。
  • 度数と相対度数の混同 — 度数は「個数」、相対度数は「割合(度数 ÷ 全体数)」です。全体数が違うグループ同士を比べるときは相対度数を使います。
  • 階級の幅は結果を左右する — 幅を極端に広く取ると分布がのっぺりし、狭すぎるとギザギザして傾向が読めません。同じデータでも階級の切り方で見え方が変わることに注意が必要です。階級数の目安としては、データ数nに対して「1 + log2(n)個程度」とするスタージェスの公式が知られており、100件ならおよそ8階級です。実務では幅を何通りか試して読みやすい形を探すのが現実的です。
  • 確率分布との関係 — 度数分布は手元のデータの実際の集計、確率分布は確率変数の理論的な分布です。データが増えるほど、相対度数の形は背後の確率分布に近づいていきます。

📝 試験でのポイント

💡 ポイント
  • 「データを階級に分け、各階級のデータ数(度数)を整理したもの」という定義から度数分布を選ぶ問題が基本形です。
  • 度数分布表から最頻値の階級・中央値が入る階級・相対度数を読み取る計算問題が想定されます。累積度数の使い方に慣れておきましょう。
  • 「ヒストグラム = 度数分布の可視化」という対応関係、および棒グラフとの違いは正誤問題で問われやすいポイントです。
  • データ分析の手順として「まず度数分布・ヒストグラムで全体像を確認する」という文脈での出題も考えられます。

📚 まとめ

💡 ポイント
  • 度数分布はデータを階級に区切り、階級ごとの度数を数えてデータ全体の散らばり方を整理したもの。
  • 表にすれば度数分布表、柱状グラフにすればヒストグラム。相対度数・累積度数で読み取りの幅が広がる。
  • 分布の形(山の数・偏り・外れ値)が見えるため、代表値の選択や前処理判断の出発点になる。
  • 「度数 = 個数、相対度数 = 割合、ヒストグラム = 度数分布のグラフ」の対応を確実に押さえましょう。