このシリーズではE資格対策として、シラバスの内容を項目別にまとめています。
強化学習の概要
強化学習は、機械学習の一部門で、エージェントが環境との相互作用を通じて学習を行い、長期的に最大の報酬を得るような行動を選択する方法を学ぶプロセスを扱います。
強化学習は以下の要素から構成されます:
- エージェント: 学習する主体で、環境内で行動を選択し、報酬を受け取ります。
- 環境: エージェントが存在し行動する空間です。エージェントの行動に応じて報酬を与え、新しい状態を示します。
- 状態: 環境がどのような状況であるかを表す情報です。
- 行動: エージェントが状態に基づいて選択する行為です。
- 報酬: エージェントがある行動を取った結果として環境から与えられるフィードバックです。エージェントの目標は、報酬の総和を最大化することです。
強化学習のプロセスは以下のようになります:
- エージェントは環境の状態を観察します。
- エージェントは選択した行動を環境に対して実行します。
- エージェントは行動の結果として新しい状態と報酬を受け取ります。
- エージェントは受け取った報酬と新しい状態を使用して学習を行い、行動の選択を改善します。
強化学習の主要なアプローチには、価値反復法、方策勾配法、Q学習、SARSA(State-Action-Reward-State-Action)、DQN(Deep Q-Network)などがあります。これらのアルゴリズムは、報酬を最大化するような最適な行動を見つけるためのさまざまな方法を提供します。
方策勾配法
方策勾配法は、強化学習の一種であり、行動を直接最適化するための手法です。具体的には、エージェントの行動方策(行動を選択するための確率的なルール)を直接的に最適化します。これは「モデルフリー」の方法であり、エージェントは環境の事前知識なしに行動を学習します。
方策勾配法の主なアイデアは、方策のパラメータを更新するために報酬関数の勾配を使用することです。つまり、エージェントは、方策のパラメータを微小量変化させることによって得られる報酬の増分を見積もります。これにより、パラメータを少しずつ調整して、最終的に最大の報酬を得る方策を見つけることができます。
方策勾配法の数式は次のようになります:
価値反復法 (Value Iteration Methods)
価値反復法は、強化学習のもう一つの手法で、エージェントの方策を間接的に最適化します。具体的には、各状態や行動の「価値」を計算し、その価値に基づいて最適な行動を選択します。
価値反復法では、「状態価値関数」または「行動価値関数」を更新するために、ベルマン方程式を使用します。状態価値関数V(s)は、ある状態sから開始して方策πに従うときの期待累積報酬を表します。行動価値関数Q(s,a)は、ある状態sで行動aを選択し、その後方策πに従うときの期待累積報酬を表します。
ベルマン方程式を用いて価値反復法の更新を表すと次のようになります:
ここで、Vk+1(s)は更新後の状態sの価値、R(s,a)は状態sで行動aを選択したときの即時報酬、γは割引率、P(s′∣s,a)は状態sで行動aを選択した後に状態s′に遷移する確率、Vk(s′)は現在の状態s′の価値です。
これらの方法は強化学習の基本的なフレームワークの中で広く使用されています。それぞれには長所と短所があり、具体的な問題や状況により適した方法を選択することが重要です。
まとめ
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