このシリーズではE資格対策として、シラバスの内容を項目別にまとめています。
エンコーダ-デコーダモデルの概要
エンコーダ-デコーダモデルは、多くの自然言語処理やシーケンス学習タスクで使用される一般的なフレームワークです。このモデルは2つの主要部分、すなわちエンコーダとデコーダから構成されます。
エンコーダ
エンコーダの主な役割は、入力シーケンス(例:文章、音声信号など)を固定長の連続的な表現に変換することです。この表現はしばしば「コンテキストベクトル」と呼ばれ、入力データの重要な特徴を捉えるものとなります。エンコーダは以下のようなプロセスで機能します。
- 入力の処理: シーケンスデータを取り込み、必要に応じて前処理を行います。
- 特徴の抽出: 入力から重要な特徴を抽出します。
- コンテキストベクトルの生成: 特徴を連続した形式にエンコードし、コンテキストベクトルを生成します。
エンコーダは主にRNN、LSTM、GRUなどのリカレントニューラルネットワークを使用することが一般的です。
エンコーダは入力シーケンスを取り込み、その情報を固定長の内部状態(コンテキストベクトル)にエンコードします。
- 入力層: 入力シーケンスをネットワークに供給する層です。
- 隠れ層: シーケンスの各要素を処理し、内部状態を更新する層です。RNN、LSTM、GRUなどの構造が使用されることが一般的です。
- コンテキストベクトル: エンコーダの最終状態を表し、入力シーケンスの抽象的な表現です。
デコーダ
デコーダはエンコーダからのコンテキストベクトルを受け取り、それを目的の出力シーケンス(例:翻訳された文章など)に変換します。デコーダの主な役割は以下の通りです。
- コンテキストベクトルの解釈: エンコーダからの情報を解釈し、出力生成のための基盤とします。
- 出力の生成: コンテキストベクトルを基に、タスクに応じた出力シーケンスを生成します。
- 後処理: 必要に応じて、出力データの後処理を行います。
デコーダもエンコーダと同様にRNNやLSTMなどを使用することが一般的で、エンコーダとデコーダが連携して機能します。
デコーダはエンコーダのコンテキストベクトルを受け取り、出力シーケンスを生成します。
- 入力層: コンテキストベクトルと、場合によっては追加の情報を受け取る層です。
- 隠れ層: コンテキストベクトルから出力シーケンスを生成するプロセスを制御する層です。
- 出力層: 最終的な出力シーケンスを生成する層です。活性化関数や損失関数の選択はタスクに依存します。
Sequence-to-Sequence(Seq2Seq)
Sequence-to-Sequence(Seq2Seq)モデルは、ある系列から別の系列への変換を行う深層学習モデルです。このモデルは主にエンコーダーとデコーダーの2つの部分から構成されます。
- エンコーダー: 入力系列を固定長の潜在ベクトルにエンコードします。
- デコーダー: 潜在ベクトルから目的の出力系列をデコードします。
これにより、Seq2Seqモデルは様々な系列変換タスクで利用されます。
基本的なアーキテクチャ
Sequence-to-Sequenceモデルの基本的なアーキテクチャは、以下の2つの部分から構成されます。
- RNNエンコーダー: 入力系列を処理し、潜在ベクトルを生成します。一般にLSTMやGRUなどのリカレントニューラルネットワークが使用されます。
- RNNデコーダー: 潜在ベクトルから出力系列を生成します。エンコーダーと同様に、LSTMやGRUなどが使用されることが一般的です。
このアーキテクチャにより、時間的な依存関係を持つ系列データの変換が効果的に行われます。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。