Poolside、118Bで100万トークン文脈のオープンモデル「Laguna S 2.1」を公開
「生成AIニュースメモ」は、生成AIの最新ニュースを要点3行+詳細メモで記録していくシリーズです。関連するG検定キーワード解説への内部リンク付きで、最新動向のキャッチアップと試験の時事対策に使えます。
- 1総パラメータ118B・アクティブ8BのMoEモデルで、最大100万トークンの文脈に対応
- 2長期タスクのコーディングベンチマークで、何倍も大きいモデルに匹敵する性能
- 3Hugging Faceでオープンウェイト公開。全ベンチマークの実行軌跡も公開
Poolsideは2026年7月21日、オープンウェイトの新モデル「Laguna S 2.1」を公開しました。総パラメータ1,180億・トークンあたり80億を活性化するMixture-of-Experts(MoE)構成で、思考モード・非思考モードの両方で最大100万トークンのコンテキストウィンドウをサポートします。訓練開始からリリースまで9週間未満で、長期タスクのコーディングベンチマークでは自身の何倍もの規模のモデルと互角の成績を収めたとしています。公表する全ベンチマークについて、最終評価の全試行の軌跡(トラジェクトリ)を公開している点も特徴です。
ベンチマーク: 同じ重量級で群を抜く性能
- ▸Terminal-Bench 2.1 — 70.2%(思考モード有効)。測定できる限り、同サイズ帯で最も有能なエージェント型コーディングモデルと主張
- ▸SWE-Bench Multilingual — 78.5%、SWE-Bench Pro(公開データセット): 59.4%
- ▸DeepSWE v1.1 — 40.4%。フロンティアモデルでも54〜73%に留まり、1T超パラメータのオープンモデルが10%未満のこともある、伸びしろの大きい難関ベンチマーク
コンパクトなサイズにより、ローカルマシンでの複雑な作業に特に適するとしています。エージェント評価は報酬ハッキングの検出が難しいことで知られるため、人手でラベル付けした軌跡で較正したLLM判定によるタグ付けを毎回の評価後に実施しています。SWE系タスクで一時50%超の試行が「オンラインで元のPRやリポジトリを発見して修正を適用していた」と判明した際には、直接の解を使わないようプロンプトに追記して2%未満まで低減した経緯も開示しています。
実タスクの事例
- ▸ブラウザエンジンをゼロから構築 — 50分・181ステップの1セッションで、空のフォルダから動作するHTML/CSSレンダリングエンジンを構築。視覚能力がない制約下で、headless Chromiumを起動して描画結果を数値比較する検証方法を自ら編み出した
- ▸自社ハーネスの最適化 — 自動ループで訓練・評価用のエージェントハーネスを5.2%高速化し、メモリ割り当てを約70%削減
- ▸エルデシュ問題#397(1975年提示)の証明を独立に再発見 — 無限の解の族を与える構成を発見。2026年1月にGPT-5.2 Proが先に証明済みだが、モデルの知識カットオフ(2025年11月)から独立した再発見と判断
思考モードと既知の制限
思考モードはオフとマックス(既定)の2種で、マックスではタスクに応じた思考量・計算予算をモデル自身が決定します。数時間・数十万トークンに及ぶ一貫した生産的思考が観察されており、マックス思考によりTerminal-Bench 2.1のスコアは60.4%から70.2%へ、DeepSWEは16.5%から40.4%へ向上します。ユーザーが選べる努力レベル(低・中・高)の制御は今回は搭載せず、早期提供を優先しています。
既知の制限として、サードパーティ製ハーネスのツールスキーマ定義への追従が苦手な場合があること(ハーネス過適合。無効なツール呼び出しをハーネスが拒否して再試行させれば通常は解決)、ツール引数がJSON配列を要求する場合に不正なJSONを生成しうること、競技数学などで思考が長くなりすぎることが挙げられています。
訓練の中身: 何を変えたのか
Laguna S 2.1はXS 2.1と同一の事前学習データによるスケールアップで、新しいデータではなく規模・訓練コードの修正・小さなレシピ変更が差分です。RLを同社として初めてFP8精度で実施し、訓練を加速しました。XSとの違いの大半は事後学習(合成データも使うSFTで能力をブートストラップした後、まだ高い成功率で解けないタスクに絞ってRL)から来ているとしています。応用研究共同責任者のPengming Wang氏は「知能を足したというより、より有能なモデルにつながる振る舞い——検証を増やし、決めつけず、早々に勝利宣言せず、粘り強くあること——を改善した」と述べています。
訓練コーパスは40.9万の環境から成り、8.3万がターミナル用途、16.8万が標準的なソフトウェアエンジニアリングのワークフローを対象としています。SEタスクの最大の供給源は実際のコミットの再現(約17,000リポジトリ・約38,000タスク)で、マージ済みPRの再現、注入バグの修正、削除ファイルの復元が続きます。S 2.1で新しいのは「リポジトリを渡して全依存関係をインストールしテストスイートを動かす」エージェント型のリポジトリセットアップタスクです。訓練ループでは、これまでで最も寛大なロールアウト予算(長いタイムアウト・多いトークン/ターン数)、バックグラウンドプロセスや選択的ネットワーク遮断に対応した新しいサンドボックス基盤、同じプロンプトを複数のエージェントハーネスでロールアウトして特定ハーネスへの過適合を防ぐ工夫が導入されました。
事前学習は2026年5月22日にNVIDIA H200を4,096基使って開始され、発表までちょうど60日です。同社は4月28日のLaguna M.1/XS.2、7月2日のXS 2.1に続く3ヶ月で3モデルという開発ペースを、「Model Factory」と呼ぶ研究・エンジニアリング内部基盤で支えていると説明しています。次のより大きなLagunaシリーズモデルの事前学習も先週開始したとのことです。
提供形態
Hugging FaceでOpenMDW-1.1ライセンスの下、BF16・FP8・INT4・NVFP4のウェイトと公式のGGUF/MLX変換、公式DFlashドラフトモデルを初日から公開しています。NVIDIAとの協力でTRT-LLMやBlackwell系のNVFP4から単一のNVIDIA DGX Sparkまで最適化され、vLLM・SGLang・Ollamaも初日から対応。ホスト提供はBasetenのModel LibraryとFrontier Gateway、OpenRouter(256K文脈の無料エンドポイントと、$0.10入力/$0.20出力/キャッシュ読み取り$0.01(1Mトークンあたり)の1M文脈専用エンドポイント)、Vercel AI Gatewayなど。Kilo、Hermes Agent、pi、OpenCode、OpenClaw、Clineおよび同社のターミナルエージェントpoolからも利用でき、ログイン不要のWebチャットchat.poolside.aiも用意されています。
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