シラバス改訂の概要

一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)は、2024年11月実施の「G検定2024 #6」よりG検定(ジェネラリスト検定)のシラバスを改訂すると発表しました。

JDLAによると、今回の改訂では「生成AIの登場により激しく変化している環境の中で、最先端の技術をキャッチアップし、利活用できる人材の育成に貢献できるよう、人工知能の基礎となる歴史的な知識・ディープラーニングの知識について体系を見直した」とのことです。

具体的には、「新たに重要となる基盤モデルや言語モデルといった生成AIに必要となる技術を追加し、法律・倫理についてはディープラーニングを利活用する方が理解しておくべきポイントを明確にするなど、シラバス全体の見直しを行った」そうです。

改訂シラバスの適用開始時期は「2024年11月8日(金)、9日(土)実施予定の『G検定 2024 #6』より」とアナウンスされています。受験予定の方は、新シラバスをしっかりチェックしておきましょう。

なお、シラバスの詳細は以下のG検定公式ページから確認できます。

変更のポイント

新シラバスの主な変更点と対策

人工知能の基礎知識の拡充

新シラバスでは、人工知能の歴史や基本概念について、より詳細な知識が求められるようになりました。

【対策のポイント】

  • AIの定義や分類を正確に理解する
  • 人工知能分野で議論されている代表的な問題(シンギュラリティ、チューリングテストなど)について学ぶ
  • 探索・推論、知識表現、エキスパートシステムなどの古典的なAI技術についても押さえる

例えば、「人工知能とは何か、具体例を用いて説明できる」という項目が追加されています。AIを「単純な制御プログラム」「古典的な人工知能」「機械学習」「深層学習」の4つのレベルに分類し、それぞれの特徴を説明できるようにしておくとよいでしょう。

機械学習とディープラーニングの体系的な理解

    機械学習とディープラーニングについて、より体系的な理解が求められるようになりました。

    【対策のポイント】

    • 教師あり学習、教師なし学習、強化学習の違いを明確に理解する
    • 代表的なアルゴリズムや手法(回帰、決定木、サポートベクターマシンなど)の特徴を押さえる
    • ディープラーニングの基本的な構成要素(活性化関数、誤差関数、最適化手法など)について学ぶ

    例えば、「教師あり学習には、特徴量と教師データのペアが必要であることを理解する」という項目が追加されています。具体的な例を交えて、教師あり学習の仕組みを説明できるようにしておくとよいでしょう。

    最新のAI技術への対応

    生成AIやLLM(大規模言語モデル)など、最新のAI技術に関する項目が追加されました。

    【対策のポイント】

    • TransformerアーキテクチャやAttentionメカニズムについて理解する
    • GPT、BERT、ChatGPTなどの代表的な言語モデルの特徴を押さえる
    • 生成AIの応用例(画像生成、文章生成など)について学ぶ

    例えば、「Self-AttentionとEncoder-Decoder Attention(Source Target Attention)について理解する」という項目が追加されています。これらの技術がどのように機能し、どのような利点があるのかを説明できるようにしておくとよいでしょう。

    AIの社会実装に関する知識の充実

    AIプロジェクトの進め方やAIの運用に関する項目に対する理解が求められるようになりました。

    【対策のポイント】

    • AIプロジェクトの各フェーズ(PoC、開発、運用など)について理解する
    • MLOpsの基本概念を押さえる
    • AIシステムの運用に必要なモニタリングやライフサイクル管理について学ぶ

    例えば、「AIの運用に必要となるモデルのヘルスモニタリングやライフサイクル管理等を理解する」という項目が追加されています。実際のAIプロジェクトでどのような課題が生じるか、具体例を交えて説明できるようにしておくとよいでしょう。

    AI倫理とAIガバナンスの重要性

    AI倫理やAIガバナンスに関する項目が大幅に拡充されました。

    【対策のポイント】

    • プライバシー、公平性、透明性など、AIの倫理的課題について理解する
    • 国内外のAIガイドラインの内容を押さえる
    • AIガバナンスの重要性と実践方法について学ぶ

    例えば、「AI倫理アセスメントの必要性について理解している」という項目が追加されています。AI倫理アセスメントの目的や実施方法について、具体的な例を交えて説明できるようにしておくとよいでしょう。

    AIに関する法律と契約の知識

      AIに関連する法律や契約について、より詳細な知識が求められるようになりました。

      【対策のポイント】

      • 個人情報保護法、著作権法、特許法などのAIに関連する法律の基本を理解する
      • AI開発委託契約やAIサービス提供契約の特徴を押さえる
      • データの利活用に関する法的留意点について学ぶ

      例えば、「AI生成物に関する著作権について、論点と確立されている考え方について理解している」という項目が追加されています。AI生成物の著作権に関する最新の議論や判例について、具体例を交えて説明できるようにしておくとよいでしょう。

      まとめ

      新シラバスでは、AIの基礎から最新技術、社会実装、倫理、法律まで、幅広い知識が求められるようになりました。単なる暗記ではなく、それぞれの概念や技術の意味を理解し、具体例を交えて説明できるようになることが重要です。

      また、AIの進化は非常に速いため、常に最新の動向にアンテナを張っておくことも大切です。ニュースや技術ブログをチェックする習慣をつけ、新しい概念や技術が登場したら、その都度理解を深めていくようにしましょう。

      G検定は、AIを活用するジェネラリストとしての知識を問う試験です。技術的な側面だけでなく、AIの社会的影響や倫理的課題についても深く考察できるようになることが、合格への近道となるでしょう。