ロボットに「隣の部屋の箱を取ってきて」と頼んだとき、ロボットはどうやって「ドアまで移動→ドアを開ける→部屋に入る→箱をつかむ」という段取りを自分で組み立てるのでしょうか。その古典的な答えがSTRIPSです。この記事では、プランニングの代表的手法STRIPSをやさしく解説します。
📖 ひと言でいうと
STRIPS(ストリップス)は、「前提条件」「行動」「結果」の3つの組み合わせで行動のルールを記述し、目標までの行動計画を自動的に立てるためのプランニング手法です。たとえるなら料理のレシピ集のようなもので、「材料が切ってあれば(前提条件)、炒めるという操作をすると(行動)、炒め物ができる(結果)」という形式のカードをたくさん用意しておき、いま冷蔵庫にあるもの(現在の状態)から食べたい料理(目標状態)までカードをつなげて段取りを作るイメージです。
🖼 1枚でわかるSTRIPS
📘 対策テキストの説明
STRIPS(Stanford Research Institute Problem Solver)は1970年代に提案された「前提条件」・「行動」・「結果」の3つの組み合わせで記述するプランニングの手法。この手法では、状況における前提条件と目標状態を定義し、それらの間にある行動を決定することで、エージェントが目標を達成するための適切な行動計画を立てることができる。
かみ砕くと、STRIPSは「行動をどう書き表すか」の約束事です。1つ1つの行動を「この条件が成り立っていれば実行できる(前提条件)」「実行するとこうなる(結果)」という形で書いておきます。すると、いまの状態から目標状態にたどり着くには、どの行動をどの順番で並べればよいかをコンピュータが探索で見つけられるようになります。名前が示すとおり、スタンフォード研究所(SRI)で生まれた問題解決の仕組みです。
🔍 しっかり理解する
行動を「3点セット」で書くという発明
STRIPS以前の課題は、「行動」というあいまいなものをコンピュータにどう扱わせるかでした。STRIPSの答えはシンプルで、すべての行動を次の3点セットで記述することでした。
- 前提条件:その行動を実行するために成り立っていなければならない状態
- 行動:実行する操作そのもの
- 結果:行動の後に世界がどう変化するか
たとえばロボットの「ドアを開ける」という行動なら、「前提条件=ロボットがドアの前にいる、ドアが閉まっている」「結果=ドアが開いている」と書けます。世界の変化が明示されているので、コンピュータは行動を頭の中で(実際に動かずに)シミュレーションできるのです。
計画が生まれる流れ
ある行動の「結果」が、次の行動の「前提条件」を満たす——このつながりを探索でたどっていくのがSTRIPSのプランニングです。つまりSTRIPSは、探索・推論の章で学ぶ探索の技術を「行動計画づくり」に応用したものだと理解できます。
なぜ重要なのか
STRIPSの「前提条件・行動・結果」という記述形式は、その後のプランニング研究の共通言語のような存在になりました。現在でも自動プランニングの分野では、この考え方を受け継いだ記述方法が使われています。G検定の文脈では、「ロボットの行動計画(プランニング)を実現する古典的手法」として、積み木の世界を扱ったSHRDLUなどとともに、記号処理型AIの代表例に位置づけられています。
💡 具体例で考える
STRIPSは、スタンフォード研究所(SRI)で開発が進められていた移動ロボットShakey(シェイキー)の行動計画のための研究から生まれました。Shakeyは部屋の間を移動し、箱を押して動かすことができるロボットで、「箱をあの部屋へ移せ」といった目標を与えられると、STRIPSの形式で書かれた行動の知識を使って「部屋Bへ移動する→箱の位置まで進む→箱を部屋Aへ押していく」といった計画を立てました。
このとき重要なのは、Shakeyが行動をいちいち人間に指定されたのではなく、目標だけを与えられて途中の行動列を自分で導いたことです。「目標を与えれば段取りは機械が考える」というプランニングの理想形を、STRIPSは1970年代の時点で形にしていたのです。
⚠️ よくある誤解・紛らわしい用語
- 3要素の取り違えに注意 — STRIPSの記述は「前提条件・行動・結果」です。選択肢で「入力・処理・出力」「状態・報酬・行動」(強化学習の用語)などにすり替えられても選ばないようにしましょう。
- SHRDLUとの混同 — SHRDLUは英語の指示で積み木の世界を操作する「システム」、STRIPSは行動計画を記述・生成する「手法」です。同じプランニング関連でも役割が違います。
- 機械学習の手法ではない — STRIPSはデータから学習するのではなく、人間が記述したルール(前提条件と結果)をもとに探索で計画を立てる、記号処理型のAI技術です。
- 名前の由来 — Stanford Research Institute Problem Solverの略で、スタンフォード研究所発の手法です。開発組織を問う出題に備えましょう。
📝 試験でのポイント
- 「前提条件・行動・結果の3つの組み合わせで記述するプランニング手法は?」という直球の出題が最も想定されます。答えはSTRIPSです。
- 逆に「STRIPSの説明として正しいものを選べ」で、3要素を別の用語に差し替えた誤答選択肢が並ぶパターンに注意しましょう。
- 「1970年代」「Stanford Research Institute Problem Solver」という時期・正式名称も選択肢の判別材料になります。
- プランニング関連の並び(STRIPS・SHRDLU)で、手法とシステムのどちらを指すかを区別できるようにしておきましょう。
📚 まとめ
- STRIPSは1970年代に提案された、「前提条件」「行動」「結果」の3要素で行動を記述するプランニング手法です。
- 現在の状態と目標状態を定義し、その間をつなぐ行動列を探索することで、エージェントの行動計画を自動生成します。
- 移動ロボットShakeyの行動計画の研究から生まれ、後のプランニング研究の土台となりました。
- 試験では「3要素の正確な組み合わせ」と「SHRDLUとの区別」が問われどころです。
