個人情報の中には、漏れたり悪用されたりすると差別や偏見に直結しかねない、特にデリケートなものがあります。個人情報保護法はこれを「要配慮個人情報」と呼び、通常より厳しいルールを課しています。医療AIや採用AIを考えるうえでも避けて通れないキーワードです。

📖 ひと言でいうと

要配慮個人情報とは、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪被害の事実など、取扱いを誤ると本人が不当な差別や偏見を受けるおそれがあるため、特に慎重な取扱いが求められる個人情報のことです。最大の特徴は、取得する時点で原則として本人の同意が必要とされることです。

例えるなら、通常の個人情報が「取扱注意」のラベル付きだとすれば、要配慮個人情報は「開封前に本人の許可が必要」という一段厳重な封印付きの情報です。

🖼 1枚でわかる要配慮個人情報

要配慮個人情報=差別・偏見につながりやすい情報
  • 対象の例 — 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪被害の事実など
  • 最重要ルール — 取得には原則として本人の同意が必要
  • 追加の制限 — オプトアウト方式による第三者提供はできない
  • AIとの関係 — 医療AI・採用AIなどで学習データに含まれやすく要注意
  • 当局の動き — 個人情報保護委員会が生成AI利用について注意喚起
つくもち屋「G検定対策」SUMMARY

📘 公式テキストの説明

日本の個人情報保護法において、「要配慮個人情報」は特に慎重な取り扱いが求められる情報を指す。具体的には、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、被害者となった事実など、個人のプライバシーに深く関わる情報が該当する。これらの情報は、本人の同意なしに取得することが原則として禁止されている。AIの活用が進む中、要配慮個人情報の取り扱いには特段の注意が必要となる。例えば、生成AIサービスを利用する際、プロンプトに要配慮個人情報を含める場合、利用目的が明確であり、かつその範囲内での使用であることを確認する必要がある。また、AIサービス提供者がこれらの情報を学習データとして使用しないことを確実にすることも重要である。個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を行い、要配慮個人情報の適切な取り扱いを求めている。さらに、AIの学習データとして要配慮個人情報を使用する場合、本人の同意を得ることが求められる。同意を得ずにこれらの情報を収集・利用することは、個人情報保護法に違反する可能性がある。したがって、AIの開発や運用においては、要配慮個人情報の取り扱いに関する法的規制を十分に理解し、適切な対応を取ることが求められる。

押さえるべきは2点です。第一に、何が該当するか(人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪歴・犯罪被害の事実など)。第二に、「取得の時点で」原則本人同意が必要という、通常の個人情報にはない強い制限です。通常の個人情報は適正な手段であれば同意なしに取得できるのに対し、要配慮個人情報は入口から同意が求められます。

🔍 しっかり理解する

何が要配慮個人情報に当たるか

法律に列挙された人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実のほか、政令で、身体障害・知的障害・精神障害等があること、健康診断等の結果、医師等による診療・調剤の情報なども対象に含まれるとされています。共通するのは「知られることで本人が不当な差別・偏見その他の不利益を受けないよう、取扱いに特に配慮を要する」という性質です。

通常の個人情報と何が違うのか

🅰 通常の個人情報
  • 取得自体には本人同意は不要(適正な手段で取得)
  • 利用目的の通知・公表などが基本ルール
  • 個人データの第三者提供はオプトアウト方式も利用可
🅱 要配慮個人情報
  • 取得に原則として本人の同意が必要
  • 法令に基づく場合など限定的な例外のみ
  • オプトアウト方式による第三者提供は不可

取得段階の同意に加えて、第三者提供の面でも差があります。通常の個人データなら、所定の通知と個人情報保護委員会への届出を行うことで本人の同意なく提供できる「オプトアウト方式」が使えますが、要配慮個人情報にはこの方式が認められていません。提供するなら原則どおり本人の同意が必要です。

AI開発・運用でなぜ特に問題になるのか

AIは大量のデータからパターンを学ぶため、学習データに要配慮個人情報が含まれていると、本人の同意の有無という法的な問題と、差別的な判断を再生産しかねないという倫理的な問題が同時に生じます。例えば病歴や障害に関する情報を同意なくかき集めて学習させれば、個人情報保護法に違反する可能性があるうえ、モデルの出力が特定の属性の人に不利に働くリスクも高まります。法規制とAI倫理(公平性)が交差する領域である点が、このキーワードの重要なポイントです。

💡 具体例で考える

医療分野の例を考えます。病院の診療記録や健康診断の結果は要配慮個人情報に当たるため、診断支援AIの開発会社がこれらを学習データとして取得するには、原則として患者本人の同意が必要です。同意取得が現実的でない規模のデータを使いたい場合には、匿名加工情報の仕組みを利用するなど、別の法的ルートを検討することになります。

もうひとつは職場での生成AI利用です。人事担当者が、従業員の休職理由(病歴に関わる情報)を含む文書を生成AIサービスに入力して報告書を作らせるような場面では、利用目的の範囲内かどうかに加え、サービス提供者側がその入力を学習データとして使用しない設定になっているかの確認が重要になります。個人情報保護委員会も、生成AIサービスに要配慮個人情報を入力する行為について注意喚起を行っています。

⚠️ よくある誤解・紛らわしい用語

💡 ポイント
  • 「取得に同意が要るのは個人情報全般」ではない — 通常の個人情報は適正取得であれば同意不要です。取得時の原則同意が求められるのは要配慮個人情報の特徴です。
  • 「機微(センシティブ)な情報は全部該当する」とは限らない — 対象は法令で列挙されたものです。例えば単なる年収や購買履歴は、デリケートに感じられても要配慮個人情報そのものではありません。
  • オプトアウト方式との関係 — 要配慮個人情報はオプトアウト方式による第三者提供ができません。「第三者提供」のキーワードとセットで覚えましょう。
  • 個人識別符号との混同 — マイナンバーや顔認識データなどの個人識別符号は「個人を識別する手がかり」の話で、差別・偏見のおそれに着目した要配慮個人情報とは別の概念です。

📝 試験でのポイント

💡 ポイント
  • 「人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪歴・犯罪被害の事実」という例示は、該当するものを選ばせる形式で問われる可能性があります。
  • 「取得に原則本人同意が必要」は最頻出ポイントの想定です。通常の個人情報との違いとして問われます。
  • オプトアウト方式による第三者提供ができない、という組み合わせ知識も選択肢に紛れ込みやすいところです。
  • 生成AIのプロンプトに要配慮個人情報を含める場合の注意(利用目的の範囲内か・学習に使われないか)は、AI文脈の応用問題として想定されます。

📚 まとめ

💡 ポイント
  • 要配慮個人情報は、差別や偏見につながりやすい、特に配慮を要する個人情報です。
  • 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪被害の事実などが該当します。
  • 取得には原則として本人の同意が必要で、オプトアウトによる第三者提供もできません。
  • 医療AI・人事AIなどでは学習データに含まれやすく、法と倫理の両面で注意が必要です。
  • 個人情報保護委員会は生成AI利用時の取扱いについて注意喚起を行っています。