このシリーズではE資格対策として、シラバスの内容を項目別にまとめています。
半教師あり学習
半教師あり学習
半教師あり学習とは、教師あり学習と教師なし学習の中間的な位置づけの機械学習手法です。教師あり学習では、入力データに対する目標値(教師ラベル)を用いてモデルを学習します。一方、教師なし学習では、ラベルなしのデータからパターンや構造を抽出するための学習が行われます。
半教師あり学習では、ラベル付きデータとラベルなしデータの両方が用いられます。これらのデータを適切に組み合わせることで、ラベル付きデータだけを用いるよりも高い性能の学習モデルを生成することが可能になります。特に、ラベル付きデータが少ない場合や、ラベル付けが難しい場合には、半教師あり学習の有用性が注目されています。
具体的な半教師あり学習の手法としては、「自己教師あり学習(Self-training)」や「マルチビュー学習(Multi-view learning)」、「生成モデルによる半教師あり学習」などがあります。
半教師あり学習の一つの実用例として、画像認識が挙げられます。例えば、一部の画像にだけラベルが付与された大量の画像データ(例えば、犬や猫の画像)が存在するとします。この場合、ラベル付きの画像データだけを使って学習を行うと、モデルは十分な性能を達成できないかもしれません。しかし、ラベルなしの画像データを追加して半教師あり学習を行うと、モデルはラベルなしデータからも有用な特徴を学習でき、結果として認識性能が向上します。
また、自然言語処理の領域でも半教師あり学習は有効に利用されています。特に、ラベル付きデータが限られている場合、大量のラベルなしテキストデータを利用することで、より精度の高い言語モデルを構築できます。
半教師あり学習
- Pseudo-Labeling
Pseudo-Labeling(疑似ラベル付け)は、ある程度の性能を持つモデルを用いて、ラベルなしデータにラベルを付与(予測)し、これを新たな訓練データとして用いる方法です。 - Tri-Training
Tri-Trainingは、異なる3つの学習モデルを独立して学習し、それぞれのモデルが他の2つのモデルによる予測結果と同じラベルを予測した未ラベルデータを新たなラベル付きデータとして追加する方法です。 - Consistency Regularization
Consistency Regularizationでは、同一の入力に対する出力が、ネットワークのパラメータの微小な変化や入力データへの微小なノイズに対して一貫性(consistency)を持つことを強制します。これは、ラベルなしデータの有用な情報を捉えるために使われます。
応用例
- 画像分類
大量のラベルなし画像データと少数のラベル付きデータを使って、疑似ラベル付けや一貫性正則化を用いて高精度な画像分類モデルを学習することができます。 - 自然言語処理
文書分類や感情分析などのタスクにおいて、ラベルなしテキストデータを用いてモデルを強化するために半教師あり学習が用いられます。 - セマンティックセグメンテーション
画像の各ピクセルにラベルを付与するセマンティックセグメンテーションのタスクでは、ラベル付きデータを作成するコストが非常に高いため、半教師あり学習が有用に用いられます。
これらの半教師あり学習の方法は、実世界の問題に対して有用なソリューションを提供します。それぞれの方法がどのように機能するかを理解することで、データサイエンティストはラベル付きデータが限られている問題に対して効果的な戦略を開発することができます。
転移学習
転移学習(Transfer Learning)は、機械学習の一つの手法で、一つの問題で学習したモデルを、他の関連する問題の学習に再利用する方法を指します。具体的には、大きく分けて事前学習(Pretraining)と微調整(Fine-tuning)の二つのステップから構成されます。
事前学習では、大量のデータ(たとえば、画像、テキストなど)を用いてモデルを学習します。この段階では、特定のタスクに特化した学習は行わず、モデルがデータの基本的な特徴やパターンを理解することを目的とします。このモデルは通常、一般的な特徴抽出器として機能します。
次に、微調整ステップでは、事前学習で学習したモデルを初期モデルとして、特定のタスクに合わせてモデルを微調整します。このステップでは、通常は比較的少量のタスク特化のデータセットを使用します。
転移学習の主な利点は、一つのタスクで学習した知識を他のタスクに適用できるため、データが少ないタスクでも高いパフォーマンスを達成できることです。また、学習時間の削減も大きな利点の一つです。
一方で、転移学習の難点は、ソースタスク(事前学習で使用されるタスク)とターゲットタスク(微調整で学習するタスク)の間に大きな差異があると、転移学習の効果が低下する可能性があることです。例えば、ソースタスクが猫の画像分類で、ターゲットタスクが医療画像診断である場合、ソースタスクで学習した特徴がターゲットタスクにあまり役立たない可能性があります。
転移学習の実用例としては、自然言語処理(NLP)の分野でのBERTやGPT、画像認識の分野でのResNetやVGGなどの事前学習済みモデルの利用があります。これらのモデルは大量のデータで事前学習されており、特定のタスクに対して微調整することで高いパフォーマンスを発揮します。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。