このシリーズではE資格対策として、シラバスの内容を項目別にまとめています。

E資格まとめ

試験概要 ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する。 1.応用数学 (1)確率・統計 (2)情報理論 2.機…

過剰適合と過少適合

過剰適合

過剰適合とは、モデルが訓練データに対して適合しすぎて、新たなデータ、すなわちテストデータに対する予測性能が低下する現象を指します。過剰適合はモデルが訓練データのノイズや異常値まで学習してしまう結果、一般化能力が損なわれることによって引き起こされます。

過剰適合を防ぐための対策には以下のようなものがあります:

  • データの量を増やす: データが豊富であればあるほど、モデルはより一般的なパターンを学習する傾向があります。
  • 正則化を使用する: 正則化(例えば、L1やL2正則化)は、モデルの複雑さを制限する手法で、モデルの過剰適合を防ぐ効果があります。
  • モデルの複雑さを制限する: モデルのパラメータ数を減らすことで、モデルが過剰に適合する可能性を抑制します。

過少適合

過少適合は、モデルがデータの潜在的なパターンを十分に学習できず、訓練データだけでなくテストデータに対しても低い予測性能を示す現象を指します。これは一般的に、モデルが十分な複雑さを持たず、データの構造を捉えきれていないときに発生します。

過少適合を防ぐための対策には以下のようなものがあります:

  • モデルの複雑さを増やす: より多くのパラメータを持つモデルを用いることで、データのより複雑なパターンを捉える能力を高めます。
  • 特徴量を増やす或いは改善する: 新たな特徴量を追加したり、既存の特徴量を改良したりすることで、モデルがデータから情報をより効果的に抽出できます。
  • 訓練時間を増やす: 訓練時間を増やすことで、モデルが訓練データのパターンをよりよく学習する機会を与えます。

過剰適合と過少適合の対策例

決定木

決定木は非常に解釈しやすいモデルである一方、深さが深くなると過剰適合しやすい傾向があります。深い決定木は訓練データの細かいパターンを捉える能力が高いため、過剰適合につながることがあります。反対に、浅すぎる決定木は訓練データの構造を十分に捉えられず、過少適合につながる可能性があります。

過剰適合の対策:

  • 木の深さを制限する: 木の深さを制限(事前枝刈り)することで、モデルが訓練データに過剰適合するのを防ぐことができます。
  • 枝刈り: 枝刈りは決定木が深すぎて過剰適合してしまうのを防ぐ一方で、木の解釈可能性を保持するための手法です。

過少適合の対策:

  • 木の深さを増やす: 木の深さを増やすことで、モデルはデータのより複雑なパターンを学習することができます。
  • 特徴量を増やす: 特徴量を増やすことで、モデルはより多くの情報を利用してデータの構造を理解することができます。

ランダムフォレスト

ランダムフォレストは決定木の過剰適合を緩和するための一つの方法で、多数の決定木を訓練し、その結果を平均する(つまり「アンサンブル」する)ことで、過剰適合を防ぎます。しかし、ランダムフォレストも過剰適合する可能性があります。例えば、ランダムフォレストが一部のノイズに敏感な特徴量を用いて過剰に適合する可能性があります。

過剰適合の対策:

  • 決定木の数を調整する: 決定木の数を適切に調整することで、過剰適合を防ぐことができます。決定木の数が多すぎると過剰適合のリスクが高まり、少なすぎると過少適合のリスクが高まります。
  • 特徴量の選択: ノイズに敏感な特徴量を排除することで、過剰適合を防ぐことができます。

過少適合の対策:

  • 決定木の深さを増やす: 決定木の深さを増やすことで、各決定木はデータのより複雑なパターンを学習することができます。
  • 特徴量を増やす: 特徴量を増やすことで、モデルはより多くの情報を利用してデータの構造を理解することができます。

ロジスティック回帰

  • 過剰適合の対策: ロジスティック回帰における過剰適合は、正則化(L1、L2)を用いて抑制することが可能です。正則化パラメータはハイパーパラメータとして設定され、クロスバリデーションによって最適な値を決定することが一般的です。
  • 過少適合の対策: ロジスティック回帰のモデルが過少適合している場合、新たな特徴量の追加や、既存の特徴量の交互作用や多項式項の追加を考慮することで、モデルの表現力を向上させ、過少適合を防ぐことができます。

サポートベクターマシン(SVM)

サポートベクターマシン(SVM)における過剰適合と過少適合は、主にパラメータ設定と特徴選択に関連しています。

  • 過剰適合の対策: SVMでは、パラメータの調整(特にCとγ)や特徴選択、そしてカーネル選択によって過剰適合を抑制することができます。Cの値が大きいほど過剰適合の可能性が高まり、小さいほど過少適合の可能性が高まります。
  • 過少適合の対策: Cの値を大きくすることでモデルの柔軟性を高め、過少適合を防ぐことができます。また、特徴量の追加や、適切なカーネル(例えば、線形ではなくRBFなど)の使用も過少適合を防ぐ手段となり得ます。

k-最近傍法(k-NN)

  • 過剰適合の対策: k-NNにおいては、kの値を大きくすることで過剰適合を抑制することが可能です。kが小さいと、モデルは個々のデータポイントに過剰に反応し、ノイズまで学習してしまう可能性があります。
  • 過少適合の対策: kの値を小さくすることで、モデルが訓練データのより詳細な情報を捉えられ、過少適合を防ぐことが可能です。

ニューラルネットワーク(ディープラーニング)

  • 過剰適合の対策: 正則化(L1、L2)、ドロップアウト、早期停止(Early stopping)、バッチ正規化などが一般的に用いられます。また、データ拡張(画像の回転や拡大縮小など)は画像認識タスクにおいて特に有効な手法です。
  • 過少適合の対策: 層の数やノード(ニューロン)の数を増やすことで、モデルの表現力を高め、過少適合を防ぐことができます。また、学習率の調整やより長い訓練期間も有効な手段となります。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。