G検定の要点をシラバスから抜粋してまとめました。
これから学習する方も、復習したい方にもお使いいただけます。
試験当日用のG検定のカンニングペーパー参考としてもお役立てください。
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(最終更新日:2023年12月20日)

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0. 学習のおすすめ書籍(参考)

筆者が実際に学習した書籍を紹介します。

教科書として使用する書籍

体系的に知識を整理することができます。

まずは、この1冊を読んでG検定の学習を進めましょう。

検索機能が使用できるので、Kindle版が特におすすめです。

問題集として使用する書籍

ある程度学習が進んだら、本番を意識して問題集に取り組みましょう。

本番の試験環境を意識して、このページ「要点整理&当日用カンペ」を使用しながら解答してみましょう。

★このページの使い方

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1. 人工知能とは

1.1 人工知能の定義

キーワード
人工知能とは何か、人工知能のおおまかな分類、AI 効果、人工知能とロ ボットの違い、推論、認識、判断、エージェント、古典的な人工知能、機械学習、ディープラーニング

人工知能とは何か🔗

計算機による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野であり、コンピュータを使って学習・推論・認識・判断など人間と同じ知的な処理能力を持つシステム。「知性」や「知能」自体の定義がないため、人工知能の具体的な定義は専門家の間でも未だに無い。同じシステムであっても、それを人工知能だと主張する人と人工知能ではないと考える人がいる。「人間と同じ知的な処理能力を持つ機械(情報処理システム)」という表現をすれば、「人間と同じ知的な処理能力」という部分の解釈が人によって異なる可能性がある。
AIの始まりはエニアック登場の10年後に1956年ダートマス会議で初めて提唱されたことによる。アーサー・サミュエルは機械学習を「明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピュータに与える研究分野」と定義している。

人工知能のおおまかな分類

レベル1 シンプルな制御プログラム 全ての振る舞いがあらかじめ決められている。ルールベースで動く
レベル2 古典的な人工知能 探索・推論、知識データを利用して状況に応じて複雑な振る舞いをする
レベル3 機械学習を入れた人工知能 非常に多くのサンプルデータから入出力関係を学習
レベル4 ディープラーニングを入れた人工知能 特徴量による学習が行われる。このレベルでは、非常に高度な認識や判断能力を持ち、複雑なタスクに対応できる

AI効果
AI効果は、人工知能技術によって新たな成果が生み出されると、その原理が解明された瞬間、人々が「それは単なる自動化であり、真の知能とは関係ない」と考える心理的な現象である。この効果は、AIの進歩に伴ってその本質的な価値を過小評価する傾向が生じることを示している。技術の成果が当たり前になることで、人々はその重要性を見過ごしやすくなり、その結果、AIのさらなる発展の可能性に対する認識が狭まることがある。この心理的な効果に注意し、AI技術の真価を正確に評価することが重要

人工知能とロボットの違い
ロボットの脳に当たる部分が人工知能。脳以外の部分を研究対象としているロボットの研究者は人工知能の研究者ではない。人工知能の研究は脳だけを対象としているわけではなく、知的な処理能力や意思決定、学習など(知的な処理有力)目に見えないものを扱う。

エージェント
エージェントは、プログラムやメカニズムの一種で、あらかじめ定義された目標を達成することを目的として設計されている。自律的に環境を認識し、その状況に応じて適切な行動を選択する能力を持っている。また、学習機能を備えたエージェントは、経験を通じて行動戦略を改善し、より効果的な結果を得ることができる。

古典的な人工知能
古典的な人工知能は、入力と出力の関係を明確に定義し、状況に応じて適切な出力を生成するアプローチを採用している。掃除ロボットや診断プログラムなど、入力と出力の組み合わせが膨大な場合でも、この方法が適用される。古典的な人工知能は、アルゴリズムやルールベースのシステムに依存し、その基礎となる知識を明示的にコード化することで、問題解決能力を実現している。しかし、このアプローチは固定的であるため、柔軟性や適応性に欠ける場合がある。近年の人工知能技術の進化に伴い、ディープラーニングやニューラルネットワークなどの新たな手法が登場しており、従来の古典的な人工知能とは異なるアプローチで問題解決を試みている。

機械学習
学習により自動で改善するコンピューターアルゴリズムもしくはその研究領域。データが持つ特徴(構造やパターン)を学習しており、パターン認識という古くからの研究をベースにしている。

ディープラーニング
ディープニューラルネットワークを用いて学習を行うアルゴリズムで機械学習に含まれる。ディープラーニングを取り入れた人工知能は、学習対象となるデータの特徴量を自動的に学習する。画像認識、音声認識、自動翻訳など、従来のコンピュータでは実現するのが難しいとされてきた分野での応用が進んでいる。ディープラーニングは従来の機械学習と異なり、特徴量そのものを学習するため、入力の良い内部表現を得ることができるようになった。

1.2 人工知能研究の歴史

キーワード
世界初の汎用コンピュータ、ダートマス会議、人工知能研究のブームと冬の時代、エニアック (ENIAC)、ロジック・セオリスト、トイ・プロブレム、エキスパートシステム、第五世代コンピュータ、ビッグデータ、機械学習、特徴量、ディープラーニング、推論・探索の時代、知識の時代、機械学習と特徴表現学習の時代、ディープブルー

世界初の汎用コンピュータ
1946年、アメリカのペンシルバニア大学で発明された世界初の汎用電子式コンピュータをエニアック(ENIAC)という。

エニアック( ENIAC )
エニアック(ENIAC)は、アメリカで開発された世界初の汎用コンピュータであり、エレクトロニクス技術の高速性と複雑な問題解決能力を兼ね備えていた。プログラミング可能な機能を初めて持つ計算機として、科学技術や軍事などの分野で幅広く利用されることとなった。エニアックは、現代のコンピュータ技術の基礎を築く画期的な発明であった。その革新的な性能により、従来の計算機では困難であった複雑な問題の解決が可能となり、情報処理技術の進化を促進した。

ダートマス会議
エニアック誕生の10年後の1956年の7月から8月にかけて開催された、人工知能という学術研究分野を確立した会議の通称である。この会議において初めてAI(Artificial Intelligence)という用語を用いたとされる。
ジョン・マッカーシーが主催しており、他の参加者はマーヴィン・ミンスキー、ジョン・マッカーシー、アレン・ニューウェル、ハーバート・サイモン、クロード・シャノン(情報理論の父と呼ばれる)。
ニューウェルとサイモンは世界初の人工知能プログラムといわれるロジック・セオリストをデモンストレーションしており、コンピュータを用いて数学の定理を自動的に証明することが実現可能であることを示す。さらに知的に行動したり思考したりするコンピュータ・プログラムの実現可能性について議論された。

ロジック・セオリスト
ロジック・セオリストは、数学の定理を自動的に証明することが可能であることを示したプログラムで、「世界初の人工知能プログラム」とされている。アレン・ニューウェルとハーバート・A・サイモンが開発し、デモンストレーションを行った。人間のような推論能力をコンピュータ上で実現することを目指しており、機械による知的な問題解決の可能性を示した画期的な成果であった。このプログラムは、人工知能研究の歴史において重要な位置を占めており、その後のAI技術の発展や自動定理証明システムの研究に大きな影響を与えている。

人工知能研究のブームと冬の時代

第1次AIブーム ⇨ 推論・探索の時代:1950年代後半~1960年代トイ・プロブレム:コンピュータによる「推論」や「探索」 の研究が進み、特定の問題に対して解を提示できるようになった。迷路や数学の定理の証明のような簡単な問題(トイ・プロブレム)は解けても現実の問題は解けないことが明らかになり、1970年代には人工知能研究は冬の時代を迎える。
第2次AIブーム
知識の時代:1980年代エキスパートシステム:データベースに大量の専門知識を溜め込んだ実用的なシステム。日本では政府によって「第五世代コンピュータ」と名付けられた大型プロジェクトが推進された。しかし、知識を蓄積・管理することの大変さが明らかになってくると、1995年ごろからAIは冬の時代を迎える。
第2次AIブームの主役である知識表現は、現在も重要な研究対象になっている。
第3次AIブーム
機械学習・特徴表現学習の時代:2010年~ディープラーニング(深層学習):ビッグデータを用いることで人工知能が自ら知識を獲得する機械学習が実用化。特徴量を人工知能が自ら習得するディープラーニング(深層学習)が登場。
第3次AIブームの主役である機械学習(ニューラルネット)も、本質的な提案は第1次AIブームの時に既に出ていた。

トイ・プロブレム
トイ・プロブレム(おもちゃの問題)とは、おもちゃのように簡単な問題という意味ではなくコンピュータで扱えるように本質を損なわない程度に問題を簡略化した問題のことで、トイ・プロブレムを用いることで問題の本質を理解したり現実世界の問題に取り組んだりする練習ができるようになる。
コンピュータによる「推論」や「探索」 の研究が進み、特定の問題に対して解を提示できるようになった。迷路や数学の定理の証明のような簡単な問題は解けても、現実の問題は解けないことが明らかになり、1970年代には人工知能研究は冬の時代を迎える。

エキスパートシステム
データベースに大量の専門知識を溜め込んだ実用的なシステム。日本では、政府によって「第五世代コンピュータ」と名付けられた大型プロジェクトが推進され、エキスパートシステムの開発が盛んに行われた。しかし、知識を蓄積・管理することの大変さが明らかになってくると、1995年ごろからAIは冬の時代を迎える。専門家の知識を活用して問題解決を図るためのアプローチであり、多くの産業や分野で応用が試みられた。その後の技術革新やデータ処理能力の向上により、エキスパートシステムは再び注目され、知識ベースの構築や管理方法の改善が進められている。

第五世代コンピュータ
人工知能コンピュータの開発を目標にした、通商産業省所管の新世代コンピュータ技術開発機構が1982年から1992年にかけて進めた国家プロジェクトの計画名称で、人工知能コンピュータの開発を主目標としていた。このプロジェクトでは、エキスパートシステムや自然言語処理、並列処理技術など、当時の最先端技術を取り入れたコンピュータの研究・開発が行われた。第五世代コンピュータは、人間の知的能力を模倣し、高度な問題解決や推論を行うことを目指しており、多くの期待が寄せられていた。

ビッグデータ
一般的なデータ管理・処理ソフトウエアで扱うことが困難なほど巨大で複雑なデータの集合。このようなデータは、インターネットの普及やスマートフォンの登場、センサー技術の発展などにより急速に増えており、現代社会において重要な情報資源となっている。ビッグデータを効果的に分析・活用することで、ビジネスや研究、政策立案など様々な分野で新たな知見や価値が生み出される。そのため、ビッグデータ解析技術やデータマイニング、機械学習などの人工知能技術が注目され、データサイエンティストの役割も重要視されている。しかし、ビッグデータの利用には、プライバシーやデータセキュリティ、倫理的な問題も関連しており、適切な取り扱いが求められている。

特徴量
分析すべきデータや対象物の特徴・特性を、定量的に表した数値であり、機械学習やデータ解析の分野で重要な役割を果たしている。特徴量の選択や抽出は、データ解析の質を大きく左右するため、適切な特徴量を選ぶことが極めて重要である。良い特徴量は、データのパターンや構造を効果的に捉え、学習アルゴリズムが予測や分類を正確に行えるようにする。特徴量エンジニアリングとは、適切な特徴量を見つけ出し、データ解析に活かすための一連のプロセスであり、ドメイン知識や統計学、機械学習技術が活用される。

ディープブルー
IBMが1989年より開発したチェス専用のスーパーコンピュータ。ディープ・ソートを破った当時チェスの世界チャンピオンだった、ガルリ・カスパロフを打ち負かすことを目標とした。1997年にIBMが開発した人工知能でチェスの世界チャンピオンを破った。ディープブルーは主に全幅探索アプローチが用いられており、圧倒的な計算能力に物を言わせて勝利したといえる。